ニッポン併合

 昨年は韓国併合100周年のため、NHKは特集を組んで放映していた。
 わたしはそれにヒントを得て、昨年の7月頃から「ニッポン併合」の長編小説を書き始めたが、中断している。今のままでは未完に終わる可能性が大きい。
 歴史は復讐する。やったことはやりかえされるというのがこの小説のテーマだ。どんな歴史的背景があるにせよ、日本は朝鮮を併合し、植民地的な統治を行った。逆の立場になることもあり得るのだ。謝ったからと言って、歴史的事実を変えることはできない。
 ただ、未完の小説では、中国と韓国の連合国がニッポンを併合しようと画策し、日本の支配者層はそれに抗しきれないと判断すると、併合後を考えて簡単に彼らに寝返るが、一部の若者が激しく抵抗し、併合を未然に防ぐというストーリーなのだ。作者としても、ニッポン併合が成功してしまうのは悲しく、やりきれない。
 歴史をさかのぼると分かるが、大陸の進んだ文明は中国や朝鮮経由で日本にもたらされた。帰化人は先進技術を持って、新しい未開の国・日本での成功を願ってやってきた。天皇家も起源は朝鮮半島の可能性が高い。
 そのような歴史的事実があるがゆえに、朝鮮人は日本に対して文化的優越感を抱いてきた。しかし、日本人は先進工業国としてのプライドがあり、朝鮮を「ミニ中華思想」の国と毛嫌いしてきたのだった。朝鮮人なんかに負けるはずがないと思い込んできた。
 しかし、日本人の朝鮮に対する意識が再び変わろうとしている。サムスンには日本の家電メーカーが束になっても適わない。日本の裏庭と考えてきた東南アジアは韓国企業の勢いに押されている。インドや中東やアフリカにも韓国企業は積極的に進出していて、日本企業の遅れが目立つ。
 韓流スターは日本だけでなく、中国や東南アジアでも活躍している。彼らは現地語を学び、現地語で歌を歌っている。
 韓国国内の競争の厳しさがエネルギーとなって海外に放出されているように感じる。
 聞いた話だが、サムスンの会長は「日本を徹底的に研究する」と豪語している。これは日本の良さを学び、日本の模倣をしようというわけではない。日本の弱点を研究し、日本の息の根を止めることだと解釈できる。
 日本が優位と思われていた学術面でも、化学などの分野で韓国がすでに優位に立っているとも言われている。
 以前にも書いたが、韓国企業も韓国人留学生も中国に怒濤のように進出している。日本企業は中国進出については、「技術を盗まれない」ように石橋を叩きながら出て行っているが、韓国企業は韓国サッカーのようにパワープレーで押し込んでいる。差がつくのは当然だ。中国のタクシーに乗って中国語を話すと、韓国人かと聞かれるが日本人かと聞かれることは少ない。それほど多くの韓国人が中国で働いているのだ。
 日本は人間関係さえうまくこなせれば、能力がなくてもそれなりにやっていける村社会だ。出る杭は叩かれて、実績や能力の差がでないように見えない手によって調整が行われている。
 わたしが小説を書かなくても、もしかしたらニッポン併合は現実の世界で静かに進行しているのかもしれない。(2011年1月29日)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック