日本は核武装に向かうのか

 原子力規制委員会設置法の付則に、原子力基本法第2条に「我が国の安全保障に資することを目的として」が第2項に加えられた。国会の場でほとんど議論されずに、自民党の意向に沿って改正された。この「安全保障」が追加された重大な法律改正の意味するところを論考してみたい。

 原子力基本法の基本方針を定めた第2条1項は、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として」と規定されているため、「安全保障」が核兵器開発を意味しないことは明らかである。エネルギー安全保障、核不拡散、保障措置(核査察)の強化と理解するのが表面的には順当である。しかし、安全保障問題に関してはものごとは単純ではない。
 韓国メディアが日本の核武装を懸念した記事を掲載した。中国も近日中に反応すると思われる。

 日本はNPT(核不拡散条約)に加盟しているため、ウランやプルトニウムの核物質がきちんと管理されていることを保障するIAEA(国際原子力機関)の査察を受けなければならない。日本は非核兵器国の中で核燃料サイクルを実施している唯一の国であるため、査察を受ける施設が国内に多く、IAEAの査察業務の3割は日本が対象である。査察は非常に厳密であるため、それをかいくぐって核物質を施設から持ち出し、核兵器を秘密裏に開発することは不可能である。
 また、現行の日米原子力協力協定では、米国から輸入したウランを原子力発電所で燃やした後の使用済核燃料からプルトニウムを取り出す、いわゆる再処理はあらかじめ両政府が合意した施設で行うことが義務付けられている。日本国内の核物質の7割に米国の国籍が立っていると言われるように、日本の原子力開発利用は米国の強い影響下にある。日本は発電の目的以外に、自由に核物質を使用できないのだ。

 一方、歴史を見てみよう。
 米中首脳の国交回復の議論の中で、両国は日本に核武装させないことで一致している。日本の軍事的影響力を限定的にしておきたいという両国の思惑があったと思われる。
 しかし、そんな中国も日本の原子力技術のレベルを考えると、核武装を決意すれば、1年以内に核保有国になるであろうというリポートをまとめている。中国は本心では日本の核武装を懸念しているのだ。
 また、国内では佐藤政権時代、中国が核実験に成功すると、核武装の可能性について検討している。当時の政治状況は55年体制であり野党の強い反対が予想されたこと、自民党の基本政策が経済成長にあったこと、さらに米国が核の傘と日米安全条約で日本の安全保障を守ることを提案してきたことから、佐藤政権は核武装を断念したのだった。米国は日本の核武装を懸念していたが、日本がNPT条約に加盟したために、ひとまず安心したとされる。

 議論は元に戻るが、国家運営に当たり安全保障の確保は最優先である。
 原子力基本法に「安全保障」という文言が加えられた意味は大きい。それは即核武装を意味しないが、周辺国への影響は大きい。尖閣諸島周辺での漁船追突事件は日本の世論を大きく刺激したが、その結果がこの「安全保障」の追加につながったとも解釈できる。また、最近、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の設置法から「平和利用に限る」という文言が削除された。
 想像力を逞しくすると、原子力と宇宙開発が連携すれば、核兵器開発の具体像が見えてくる。中国と北朝鮮は疑心暗鬼に囚われることだろう。

「領土問題などで日本を刺激すれば、日本は軍事大国化する。それは中国の望むことではない、これ以上日本に軍事的圧力を課すことはまずい」と思わせることが重要だ。潜在的核抑止力である。
 日本は核武装するには同盟国の米国の了解をとらなければならないし、米中軍事勢力が大きく変化しない限り、実質的には不可能であろう。でも、それでも中国は敏感になるだろう。
 最後に、秘密裏に核兵器を開発する方法を教えよう。それは国内の軍事施設で核開発を行うことだ。IAEAの査察権は軍事施設までは及ばないからだ。もちろんそうすれば、日本はイランや北朝鮮などと同等の国と海外から思われることになる。日本がそれを選択するかどうかだ。

 日本は戦後経済成長重視で国の運営をやってきたし、国民もそれを受け入れてきた。それは成功体験だった。これからの日本はどこへ向かうのか。日本国民はタブーを破って考えなければならない。国力が落ちていく中で、日本はしたたかに生きていかなければならない。時代は動いていく。(2012年6月24日、寺岡伸章)
 

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